王都炎上

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ミランは使用人たちと港に入っていた。 神殿騎士が敵ならば、いつ出くわしても不思議ではない。 しかも、自分たちは武器も持った事のない素人なのだ。 ミランは焦りを隠しながら「どの船なのでしょう……」と言った。 肩を上下に揺らしながら息をするミランは、数ある船を見渡している。 どの船も同じように見えるのだ。 「見て来ましょうか?」 1人の使用人がそう言うも、ミランは首を横に振った。 「今ここで別れるのは得策ではありません。全員で動きましょう」 せっかくここまで来たのだ。 別行動をしていて船に乗れないような事があれば、何の為に一緒に来たのか分からなくなる。 だがそんなミランの考えは、すぐに消し飛んでいった。 一番会いたくない敵が現れたのだ。 「間違いなく女王だ」 数人の人影からそんな声が聞こえた。 「ここまで来れた事に感謝しながら死んでいけ」 「あなた方は神殿騎士ではありませんね?」 ミランは使用人たちに囲まれながら、ゆっくり後退していく。 「貴様達が知る必要はない」 謎の人影は、殺気を放ちながら姿を現した。
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