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数人の男達が帆を操りながら船長の指示に従っている。
誰もが体つきが良く、見るからに海の男だった。
「お父さん、無理を聞いてくれてありがとう」
「へっ、お前の頼みを断る理由は無い。気にすんな」
船を出すと言って先に港へ向かっていた1人の使用人。
その父がこの漁船の船長なのだろう。
突然の頼み事でも、嫌な顔を見せる事無く船を出してくれた。
「だが、まぁ何だ……お前が王宮で働くと言った時には驚いたが、それ以上に今回は驚いたぜ」
全員がデルララの街を見ていた。
赤い炎を上げ、真っ黒な煙が立ち上っている。
つい先程までの平和だった街並みが、一瞬にして地獄の街へと姿を変えていた。
「私の力が足りないばかりに……」
ミランは泣いていた。
最愛の夫が裏切り、美しいデルララの街を焼いたのだ。
その心に受けた衝撃は、計り知れない。
「あ、あの方は……」
その時、船に向かって走って来る少女の姿を見つけた。
その後ろには、何人もの兵士達が武器を構えて追い掛けている。
「ライラ!」
ミランは船を戻すように頼んだ。
だが、今更戻る事など出来ないのだ。
ミランはライラの無事を、ただ祈る事しか出来なかった。
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