予兆

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「不味い……」 少女は口に運んだカップをテーブルに置いた。 「私の煎れたお茶は飲めないか?」 「……」 「まぁいい。逃げなかっただけ許してやる」 アキュアはそう言って残りのお茶を飲み干していく。 少女は不味いと言ったが、アキュアは美味しいと感じている。 だからなのか、満足そうな表情をしていた。 「さて、聞かせてもらおうか」 アキュアはテーブルに空になったカップを置くと、少女に向き直った。 口元に笑みを浮かべたアキュアは、同じ女から見ても綺麗だと素直に思った。 「どうした?早く話さないと、王国の者が来るぞ」 「王国……?」 「やっと口を開いたか」 可愛らしい少女の声に、アキュアは何だか可笑しくなってしまう。 まさか、自分達の命を狙った者が、こんなに可愛らしいとは夢にも思わなかったのだ。 「間もなく軍務卿が来る。そうなれば、お前は牢の中だ」 その言葉に少女の顔色が悪くなっていった。 「良く聞け。お前は私達に気付かれる事なくここに入り込んだ。つまり、それなりの訓練を積んだ者と言う事になる訳だ」 アキュアはようやく鋭い視線を少女に向けた。
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