予兆

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何と鋭い目をするのか。 少女はアキュアを見て震えが走った。 「誰の命令だ?まさか自分の意思とは言わないだろう」 「あ、あたしは……」 少女はアキュアに恐怖していた。 そう、自分の力だけで勝つ事は出来ないと感じ取ったのだ。 「どうした?」 「ただ暗殺しろと言われただけで、他の事は分かりません」 「ほぅ……理由も無く暗殺しろと言われれば、お前は暗殺するのか?」 アキュアは少女に詰め寄って行く。 あまりの怖さに、少女の体が小さくなっていた。 「人質を取られたか?」 アキュアのその言葉に、少女の体がピクンッと動いた。 「なるほど……。では、そいつが誰なのかは話す気にならないのだな?」 「弟が……その……」 「もういい。少し休め」 「えっ!?」 「部屋を貸してやるから休めと言ったんだ。心配しなくても牢に入る事はない」 アキュアはテーブルに肘を着くと、顎に手を充てた。 「でも、あたしは……命を……」 「私を誰だと思っている?」 アキュアはそう言って笑みを見せた。
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