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フリックは王宮に来ていた。
夜も深まり静けさの中で、フリックの足音だけが響いている。
「こんな形でここに来るとはな」
フリックは門番にシルとの面会を求めた後、王宮の一室に通されていた。
「こんな夜更けに訪ねて来るとは、何事でしょう」
私の誘いを断りながら、何しに来たのかと言った顔をしていた。
「すまないな。どこの手の者か分からないが、刺客が来たのさ」
「刺客?」
この男は何を言っているのかと顔をしかめる。
そんなシルに構う事なく、フリックは言葉を続けた。
「俺達が命を狙われる可能性は無いとは言わないけどな」
一応、報告に来たのさと、フリックは言った。
冗談で、こんな事を言うような男ではない。
フリックがこんな夜中にわざわざ来たのだ。
本当に狙われたのだろう。
「私の所に来なくとも、警備隊が居るでしょうに」
「刺客が来た事を警備隊に言って、何か役に立つのか?」
フリックは、こう言いたいのだ。
自分達が気付かず部屋まで侵入を許した。
つまり、力の劣る警備隊では役に立たないと。
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