予兆

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「それだけじゃ無いぜ?」 「他にも何かあると?」 「来たのは少女だ。しかも、手首には奴隷の印があった」 フリックは、あの少女との一瞬の出来事で見抜いていた。 恐らくアキュアも気付いているだろう。 「この国は、奴隷制度は禁止されている筈だ」 「そうですね、確かに奴隷制度は禁止されています。ですが、少女に印が付いているとなると……」 「心当たりでもあるのか?」 フリックの問い掛けにシルは頷いた。 あくまでも憶測に過ぎないが、恐らくはガロル領だろう。 だが、それにしても何故ここに来なかったのか……。 アキュアとフリックは軍を抜けたのだ。 ましてや、王国で恨みを買うような2人ではない。 「他に何か理由があると言う事ですか……」 シルはそう考えると、直ぐに出発の準備を始めた。 「シルも行くのか?」 「当然です。その少女はこちらで引き取ります」 「牢には入れるなよ」 「何故です?」 「相手は少女だ。しかも、奴隷の印を持ったな。何か理由があると俺は思うが?」 フリックはシルの肩をポンっと叩きながらそう言った。
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