予兆

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王都デルララは広い。 人口数十万の大都市なのだ。 デルララの中心より少し北側に、王族の暮らす王宮がある。 王国の象徴故か、かなり巨大な建物で、常に3000を超える人達が生活している。 その中には王宮警備隊も含まれているが、このファーレル大陸中を探しても、これだけ巨大な建物は無いだろう。 そしてその王宮のすぐ近く、デルララ中心部には、大地教団の神殿があった。 過去に一度も鳴った事の無いと言われる始まりの鐘が神殿の最上階にある。 その始まりの鐘は淡い輝きを放ち、夜空を神秘的に照らしていた。 フリック達は、大地教団の神殿の前を通り抜け、デルララの外れ、南西方面へと向かって行く。 「軍務卿、一体どこへ行かれるのですか」 行き先を伝えられていないエランがシルに聞くと「来れば分かります」と、難しい顔を見せた。 「俺の家だよ。何も難しい顔をしながら隠す事ではないだろう」 フリックはシルに呆れながらそう言った。 「フリック殿の……?ならば、アキュア将軍も?」 エランは懐かしい上官の名を口にした。
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