予兆

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「まぁ落ち着け。何か飲み物でも持って来よう」 2人の間に入ったアキュアは、そう言って部屋から出て行く。 「相変わらず緊張感が無いですね」 シルがフリックを睨み付けると「今はこの少女から話を聞く事が先だと思いますが」と、エランが仲介に入った。 「そうでしたね」 エランの言葉にシルは少女に向き直る。 その少女は、体を震わせながら膝を抱えていた。 「本当は怖いのだろうな」 人数分のカップを手にしたアキュアが戻って来る。 そして、そのカップをテーブルに置いた。 「お前が……いや、何でも無い……」 アキュアに何かを言おうとしたフリックだったが、言葉を濁す。 「私のお茶は飲めないか?」 「飲まない方がいいと思うけどな」 「何故です?アキュア将軍のお茶など、滅多に飲めませんが」 2人の会話を気にする事無く、エランは嬉しそうにカップを口に運んだ。 「こ、これは……その……何とも不思議な味で……」 エランの顔色が悪くなり、それを見たフリックが笑い始めた。 「段々とヘタになってるんだよ」 フリックのその言葉に、アキュアの顔は真っ赤になっていた。
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