予兆

30/37

1586人が本棚に入れています
本棚に追加
/997ページ
「フリック……。その何だ……もう少しだな……」 俯くアキュアにフリックは溜め息を吐いた。 「お前は良くやっているよ」 そう言ってアキュアの肩に手を置くと、フリックはシルに向き直った。 「話が逸れた。とにかくだ、この少女はシルが責任を持って保護するんだな」 「分かりました。約束しましょう。エラン将軍は、ガロル領へ向かって下さい。奴隷制度の有無もお願いします」 「では、直ちに出発します」 エランは敬礼をしながらそう言うと、くるりと向きを変えた。 ゆっくり一歩を踏み出すエラン。 そのエランに「待てっ」とアキュアが声を掛けた。 「どうしました?」 エランはアキュアに向き直った。 そのエランに「私も一緒に行く」と言った。 「何!?」 驚いて声を上げたのはフリックだった。 シルとエランは言葉を失っている。 「シル、約束しろ」 「何をでしょう?」 「今回だけ手伝う。その代わり、その少女の身の安全を約束してほしい」 アキュアは何を言っているのか……。 そんな疑問が3人の脳裏によぎっていた。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加