予兆

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「アキュア、お前は何を言い出す!?」 声を荒げたフリックは、アキュアの肩を強く掴んだ。 そのアキュアはフリックの手を強く振り払った。 「分かっているのだろうが?」 「あの印の事か!?あれは、単なる奴隷の焼き印ではないさ。あれは、奴隷を慰める為の最悪の印だよ!」 「分かってるさ」とフリックは怒鳴る。 「いいか、私達に気付かれる事無く忍び込んだ者が、声を掛けただけで尋常でない怯え方をしているのだぞ?」 興奮するアキュアはそう言ってフリックを睨む。 「俺達は軍を抜けた。この先の事はシルに任せておけばいい」 そうは言ったものの、フリックは分かっている。 アキュアに何を言った所で、もはや引き下がるような事は無い。 それは、シルとエランも同じ様に感じ取っていた。 「いいでしょう。保護する事を約束します。まずは、この印が何処の貴族の物なのか調べる必要がありますね」 「シル!?」 「フリックも諦めなさい。こうなったアキュアを止める術はありません」 そう言いながら、シルは2つのバッチを取り出した。
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