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「今より我々はガロル領へ赴く。同じ王国の者と言えど、油断はするな!」
外で待っていた兵にエランが号令を掛けた。
その言葉に、1人として乱れる事無く敬礼をしている。
「相変わらずだな」
そんな姿を見ていたフリックが呟くと「私達も相変わらずだ」と、アキュアは笑みをこぼす。
そんな2人を見つけた兵達からは、どよめきが走っていた。
「あの方がアキュア将軍……」
誰かが呟く。
赤い髪が月明かりに反射し、アキュアの美しさを一段とかもし出していた。
兵達は出発する事を忘れて見入っている。
そんな兵達に向かってエランは「アキュア殿とフリック殿とは、今より我らと共に行動する事になった。2人の足を引っ張らないように気を張れ」と声を発した。
全員がゆっくりと進み出す。
「これで、ここに---」
「言うなよ?」
エランの言葉をフリックが遮っていた。
エランが何を言おうとしたのかを理解したのだ。
「あいつは、ここに居てはいけないんだよ。今頃2人で平和に暮らしてるだろうしな」
「そうですな……」
その時エランは、少し寂しい表情をしていた。
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