予兆

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ファーレル大陸。 この惑星の中で最大の面積を誇る超大陸の事である。 そのファーレル大陸の東側には、一年を通して温暖な気候に恵まれたローラン地方があった。 緑豊かなこのローラン地方は、大陸最大の王国と称されるグラン王国がある。 700年以上の歴史を持つこの王国は、幾度となく戦火にまみれながら繁栄を続けていた。 「ミラン女王。間もなくエラン将軍が到着されます」 ミランと呼ばれた女王は、まだ即位して2年程しか経っていない。 女王になる前は、この国の内務卿ランベル・フランソスの秘書官を務めていた。 それが何故こんな事になってしまったのか……。 歴史の渦とは、本当に恐ろしいと思ってしまう。 「女王、いかがされました?」 考え事をしていたミランは、女王と呼ばれて我に返る。 「ごめんなさい……。まだ、女王と呼ばれる事に慣れてなくて……」 「それは仕方ない事。それでも、立派にこなされておられるのですから、流石と言う以外の言葉が思い付きません」 そう言って深々とミランに頭を下げた。 「私が女王ね……。本来なら、この椅子に座るのも--」 ミランは言葉に詰まった。 これ以上は、流石に口に出来ない。
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