裏切り

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「フリック、ここから出るぞ」 アキュアは格子を掴むと、鍵の部分を探す。 食事が運ばれないのであれば、体力が残っている内に何とかしなければならない。 「無駄な事はしない事じゃな。1人は女のようじゃが、お前さんは直に領主の奴隷じゃろう」 「爺さん、俺達が誰なのか知って言ってるのか?」 「アキュアとフリックじゃろう」 老人はそこまで言うと「これ以上は疲れる」と、口を閉ざした。 「くそっ!」 フリックは苛立ちを抑える事が出来ない。 そして---。 「アキュア将軍、お迎えに上がりました」 数人の兵を引き連れたエランが、アキュアの牢の前に姿を現した。 「エラン?」 アキュアは驚いていた。 何故、兵を引き連れたエランがここに居るのか。 頭では理解していても、理性が納得しないのだ。 「エランだと!?」 フリックもエランの姿に驚きを隠せない。 「フリック殿、あなたは一生ここから出る事は出来ません」 「貴様は……そうか、そう言う事かよ!?」 フリックは格子に向かって殴りつけた。 鈍い音が反響しながら消えていく。 フリックは、エランを睨み付けていた。
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