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「ではリリィー。あなたの目的を教えてくれませんか?」
シルは侍女にリリィーの隣に座るように目で促す。
隣に侍女が座る事で、リリィーを落ち着かせようと試みた。
その侍女はシルの考えを確実に受け取っていた。
リリィーの手を優しく握り、目を見て頷く。
「リリィーが落ち着いてからで構いません。あまり時間はありませんが、私は待ちますよ」
リリィーを真っ直ぐ見つめるシルは、侍女が運んでくれたグラスを手にした。
「あ、あの……」
か弱い声がシルに届く。
まだ体は震えているが、リリィーはシルを真っ直ぐ見つめた。
「あ、あたしの……」
リリィーの言葉が詰まった。
そんなリリィーを見た侍女が、背中を軽くさすっている。
良く気の利く子だと、シルは素直に感心した。
「弟が領主様に捕まりました……。領主様のお屋敷の地下には、何か不思議な力を持つ石が採れるそうです」
「不思議な力ですか」
シルの問い掛けにリリィーは頷く。
「そ、その弟が奴隷として……」
「なる程……」
この時シルは、リリィーが言いたい事を理解した。
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