始まりを告げる鐘 レジェンド

裏切り

「何のつもりだ？」

強気を崩さないアキュアは、エランの剣筋に微動だにしない。

そのエランは、振り抜いた剣を腰に納めていた。

そして－－－。

アキュアが身に着けていた衣服が真ん中から引き裂かれていた。

真っ白でいて美しい肌が露わになる。

「今あなたは死なれたのです。これで、心置きなくオデッサ様にお仕え出来るであろう」

エランは引き裂かれた衣服を掴むと、そのまま引きちぎった。

「エランっ！」

怒りの表情に変わるアキュアは、エランを睨み付けた。

張りのある形の良い胸。

槍を構えていた兵士たちは、アキュアを見て固唾を飲んでいた。

「裸にされる事が女の弱点だと思うなよ？」

アキュアは凄まじいまでの殺気を放っていた。

「その状態で何が出来るのですか？」

エランは余裕の表情でアキュアの言葉を流す。

「連れて行け。湯浴みをさせろ」

そう言ってエランはアキュアの左頬を殴りつけた。

「これは裏切りではない。全てはあなたが悪いのです」

殴られた勢いで壁に激突したアキュアは、意識が一瞬飛んでいた。

エランが何か言っていたようだが、アキュアに届いては無かった。