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「女はまだか!?」
「只今、湯浴みをしている所です。もう少しお待ち下さい」
エランは正面に座る男に膝を着きながら頭を下げていた。
オデッサ・ガロル。
ガロル領の領主である。
人々から敬愛され、全てを民の為にと尽くして来た上流貴族である。
その男がいつの間にか人が変わっていた。
己の欲望のままに振る舞うようになったオデッサ。
エランは、半年ほど前からオデッサと接触しては、その原因を調べていたのだ。
表向きには、現女王が王家の血を継いでいない事を不服として貴族から次の王を選出するべきだと訴えている。
だが、最近のオデッサの振る舞いを見ていると、それは違う事が分かって来た。
そこでエランは、オデッサに同調したように見せかけて探りを入れていた。
だが、予期せぬ出来事が起きてしまう。
エランがオデッサの配下として取り入られた時、奴隷を使って女王の暗殺をしようと企てた事だ。
オデッサは王国に詳しいエランに奴隷を鍛えるように命令を下す。
その命令通りにエランはリリィーを選んで育て上げた。
そして、ついに暗殺を実行する時が来てしまった。
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