1586人が本棚に入れています
本棚に追加
奴隷制度を禁止しているグラン王国。
王国の目を盗んで奴隷制度を築き上げたオデッサ。
本来ならば、すぐ王国に報告しなければならなかったのだ。
だが、エランは1人で解決する道を選んだ。
今ここで王国の威厳に陰りを産む事は出来ないのだ。
そして、リリィーを王国に送り込ませたエランは、王宮ではなく、アキュアの元へ向かわせた。
アキュアなら殺す事は無いと確信していたからだ。
アキュア将軍には辛い思いをさせてしまう……。
そんな思いがエランの心にはあった。
それでもやらなければならない。
オデッサは、上流貴族として力を付けすぎていたからだ。
「どうした?」
オデッサは、エランの微妙な表情の変化を見抜いていた。
「いえ、湯浴みにしては少し遅いと思いまして」
適当な事を口にするエラン。
今、自分の計画が誰かに気付かれてはならない。
そして、全てが無事に終われば、後は自分を始末すればいいのだ。
エランは「様子を見てまいります」と言って立ち上がると、浴場へと向かって行った。
最初のコメントを投稿しよう!