裏切り

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「準備が出来たようですね」 外で待っていた兵士の1人が、アキュアに槍を構える。 「そんな物を私に向けても無意味だぞ」 「この状況で強気ですか?」 「私を誰だと思っているのだ?」 「捕らわれたアキュア・クラインですな」 「まぁいい……。早くオデッサの所に案内しろ」 アキュアは兵士たちに構う事なく歩き始めた。 「1つ聞いていいか?」 アキュアは歩きながら口を開く。 「今のオデッサのやり方が、お前たちは正しいと思っているのか?」 「我らはオデッサ様に従う者です。その質問は、聞くだけ無駄だと思います」 「そうか。ならば、お前たちが死んでも文句は無いのだな?」 「あなたの言っておられる意味が分かりません」 「すぐに分かるさ」 それ以上の会話は無かった。 オデッサの待つ部屋に着いたのだ。 「オデッサ様。女を連れてまいりました」 「入れ」 部屋の中からそう声が聞こえた。 その言葉を受けた兵の1人が、恭しく扉を開けると、オデッサに向かって頭を下げた。
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