裏切り

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激しい痛みと共に、おびただしい流血が床を赤く染めていく。 そんな傷に構う事なく、アキュアは武器を奪い取った兵士の首を切り落とした。 ゴロンと転がる首。 何が起きたのか分からないといった顔をしていた。 「次に死にたい奴は誰だ?」 アキュアは剣を真っ直ぐに構えた。 「自らの体を痛めて、意識を繋ぐか」 男は呆れていた。 薬に身を任せれば、苦痛を味わう事は無いのだ。 「私はお前たちの思い通りにはならない」 アキュアは動く。 身近な兵に向かって剣を振り上げると、そのまま躊躇なく振り切った。 悲鳴を上げる間もなく倒れる兵士。 それを見届ける事なく、次の兵士に狙いを定めた。 「噂以上だな」 男は驚きを隠せない。 少なからず薬の効果はある筈なのだ。 その証拠に、アキュアの体は若干震えている。 それでもあの動きが出来るのだ。 「次は誰だ?」 アキュアは兵士たちを睨み付ける。 そして最後にオデッサを睨んだ。 「やはりお前だな」 アキュアはオデッサに剣先を向けた。 そのオデッサは、口をパクパクさせているだけで動く事が出来ない。 アキュアは、そんなオデッサに一気に詰め寄った。
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