予兆

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「シル……みんな見てます……」 真っ赤になったミランは、周りを気にするように俯いた。 よほど恥ずかしかったのか、耳先まで赤い。 そんな2人を重鎮達は、和やかに見守っていた。 「平和な時はこれでいいのです」 シルはミランの肩を軽く叩くと、そこで振り向いた。 「女王はお疲れのようです。部屋にお連れしなさい」 「でも、エランが--」 「エラン将軍は私がお会いします。とにかく少し休みなさい」 シルはミランを立たせると、ゆっくり手を引いた。 「王国も安定しているとは言えません。何が起こるか分からないこそ、今は休んで疲れを癒やすのです」 そう言ったシルは、向かえに来た侍女にミランを託した。 「さて、エラン将軍の報告が良い話だと思いたいですね」 シルはエランを迎え入れる為、謁見の間へと向かって行った。 もう何度も見た謁見の間。 軍務卿となった今でも、この部屋は落ち着かない。 やはり、特別な雰囲気をかもし出すのだろう。 「部屋を変えた方が落ち着きますね」 シルはそう呟くと、近くに控えていた侍女に別の部屋を用意するように言った。
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