裏切り

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「私の前に立ちはだかるな」 アキュアはエランを睨み付けた。 「既に限界でしょう。私には分かります」 エランはアキュアに近付いて行く。 そのアキュアは既に視界が歪み、立っている事が辛くなっている。 「軽く体に触れればどうなるか……」 エランはその言葉と同時に踏み込んだ。 剛腕から繰り出される剣技は、今のアキュアでは受け止める事は難しい。 「くっ……」 アキュアはエランの間合いから逃げるように後ろへ下がる。 だが、戦うには決して広くない廊下では、すぐに壁に当たってしまう。 「私から逃げる事が難しいのは、将軍ならお分かりの筈です」 エランはアキュアを逃がすまいと、連続して攻撃を繰り出していく。 その攻撃を、ギリギリの所でかわすアキュア。 だが、既に限界を超えた体は思い通りにならない。 ついに、アキュアはエランに捉えられた。 「将軍、ここまでです」 剣先をアキュアに向けたエランに迷いは無かった。 「大人しくオデッサの女になっていれば良かったのだ」 エランはそう言って踏み込んだ。
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