裏切り

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「お前に教える必要はねぇな」 フリックは殺気を放ちながらエランに近付いていく。 そのフリックの体からは、バチバチと稲妻がほとばしっていた。 「お前はアキュアを頼む」 ジュリアを見る事なくそう言ったフリック。 そして、その言葉の後に、一気にエランへ踏み込んで行く。 「お前はぁっ!」 剣を水平に構え、右から左へと滑らせた。 バチバチと鳴る稲妻が、まるで生き物のように剣を包んでいく。 そして、その剣をエランに向かって振り抜いた。 激しい落雷のような轟音と共に、稲妻がほとばしっていく。 「死ねよ!」 だが、エランは直感だけで避けていた。 壁には穴が空き、焼け焦げた臭いが充満していく。 視界は悪くなり、誰が何処に居るのかが分からない。 それでも自分の感覚だけでフリックは、エランが避けたであろう場所に向かって剣を構えた。 「早く出て来いよ」 フリックは再びエランとの間合いを詰めた。 そして、先程と同じように剣を構えると、一気に振り抜いていた。
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