裏切り

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「2名でデルララへ先行し、1名は大地教団から神官を連れて来てほしい。もう1名は王宮へ行って報告を」 ジュリアは段取り良く指示を出していく。 その指示に不満な声を発する者は1人も居ない。 「では、私がデルララに行きましょう」 そう言ったのは、フリックから直接馬車の準備を頼まれた兵士だった。 「頼みます」 ジュリアはその兵に向かって敬礼する。 「では、自分も先行します」 もう1人の兵が一歩前に出て来た。 2人共、フリックの話を真剣に聞いていた者だった。 「では頼みます」 2人の兵はジュリアに敬礼すると、馬にまたがった。 「では神官を連れてまいります」 2人はデルララへ向かって馬を走らせて行った。 「ジュリアか……。いいじゃないか」 馬車から見ていたフリックは、そう呟く。 デルララに戻れば、間違い無く軍に復帰する事になる。 そうなれば、軍の編成もしなければならなくなる。 フリックは、ジュリアと先行した2人を配下に加えようと考えていた。 「お待たせしました」 「すまないな」 「とんでもありません」 ジュリアは手綱を握ると、ゆっくりと馬車を走らせ始めた。
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