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「内務卿ライアン。嬉しいお言葉です。それではお言葉に甘えてガロル領の事を教えていただけますか?」
ミランはそう言ってライアンを見た。
上流貴族の中で、オデッサと並ぶ程に民からの信頼が厚い男でありながら、自分の家柄の事となると私利私欲が強くなる傾向にある。
それ故に、ミランはこのライアンを好きになれないでいた。
しかも、性格もオデッサに似ているのだ。
「ガロル領の事でございますか?」
三大老の中で一番の年配であるライアンは、既に70才を過ぎている。
そんなライアンが白髪頭を撫でながら考え込んだ。
「小さな噂でも構いません。何か知っている事があれば教えて下さい」
「特に変わった事は御座いませんな。この国に納める税も問題ありません」
ライアンはそう言って秘書官に書類を持ってこさせた。
「こちらがガロル領に関する資料です」
渡された書類に目を通すミランは「確かなようですね」と呟いた。
元々ミランは前内務卿の秘書官だったのだ。
おかしな部分があればすぐ分かる。
「納得していただければ結構です」
ライアンはいささか不機嫌な表情をしていた。
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