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「では外務卿からは何かありませんか?」
ミランは小さくなりながら俯いている男に視線を向けた。
上流貴族の中では一番権力が小さく、何故この男が三大老に選ばれたのかと言う者も少なくない。
しかも年齢も若く、疎まれているのだ。
だが、与えられた仕事を完璧にこなすその姿は、ミランから絶大な信頼を得ていた。
「どうしましたか?」
ミランは俯く外務卿に声をかけた。
「私から話す事は何も……」
「ねぇキルロッサ。あなたは、もっと自分に自信を持ちなさい。外務卿の役職に就く事は誇りに思って良いのですよ」
何か言いたい事があるような素振りを見せたキルロッサだったが、周囲の目が気になるのか、結局何も言わなかった。
「女王、あまりキルロッサ卿に無理な事は言われない方が宜しいかと思いますが……」
ライアンはキルロッサを睨みながらそう言った。
余計な事は話すなと、無言で訴えているのだ。
そのライアンの視線に気付かないシルではない。
シルは「ライアン卿は何か知っておられるようですね」と、言った。
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