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「何を言われるのか」
ライアンは心外だと言わんばかりに、表情を一変させた。
「あなたの顔を見れば分かります。ガロル領での出来事は把握しているのですね?」
シルの視線が険しくなっていく。
その目を見たライアンは「知らぬと言った筈だ!」と、声を荒げた。
「いいでしょう。実は、私の古い友人がガロル領に行っています。間もなく戻って来る頃でしょうから、その友人から聞く事にします」
「友人ですか?」
ライアンは、その友人がアキュア・クラインの事だとすぐに分かった。
「どうしました?」
「い、いえ……。私に何の相談も無くガロル領に行かせる等と……」
ライアンの額からは汗が光初めていた。
明らかに動揺しているのだ。
「友人がガロル領に行くのに、あなたの許可は必要ないと思いますが?」
「当たり前です。どこか行く度に報告されていては、本来の仕事が出来ませんぞ!」
ライアンはついに立ち上がった。
苛立ちが最高潮に達したのか、顔が真っ赤になっている。
そんなライアンを横目で見ながら「ではお集まりいただいた本題に入ります」と、シルは言った。
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