裏切り

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「本題ですと?」 ライアンは今までの会話がそうだったのではないのかと首を傾げた。 「ライアン卿の考えで合ってますよ。今回集まってもらったのは、ガロル領の事です」 シルは一度言葉を区切った。 そして、黙っているミランに目配せをした。 そのミランは頷き返すと、ゆっくりとした口調で話し出した。 「ガロル領において、奴隷制度が発覚しました。また、オデッサ卿は私兵を集めています」 ミランはライアンを見つめる。 「私兵を集めている事において、王国に反旗をひるがえさなければ問題ありませんが、奴隷制度は固く禁じています。そこで、ライアン卿にはガロル領の実態を調べてもらいます」 ライアンから吹き出る汗は、更に増えていた。 「キルロッサ卿は後で私の所に来て下さい。話があります」 ミランはそれだけを口にすると、シルに後の事を任せた。 「ガロル領の情報は、先程も言いましたが私の友人が戻って来ます。何か情報を得る事が出来ると思いますので、ライアン卿との話は、その後になりますね」 「分かりました……」 ライアンは俯くようにうなだれる。 そして、シルの表情が一瞬変わった事に、誰も気付かなかった。
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