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「仕方ないな……」
フリックは焦げた料理を片付けると、アキュアの代わりに料理を作り出した。
「同じ事を何度も言うが、焦げるまで何もしないアキュアが悪い」
「見ていろ」と、フリックは手際よく料理を作っていく。
「騎士にならなくても、お前なら職人として料亭で雇ってもらえそうだな」
料理を作るフリックを見ながら、アキュアは感心していた。
何故こうも何でもこなせるのか。
しかも、その姿が様になっているのだ。
「あのな……」
フリックは何か言葉を発しようとした。
だが、それが無駄な事だと知っているフリックは、再び溜め息を吐いただけで料理に集中する。
この2年近く、家事全般はフリックがやっていた。
アキュアも何度も挑戦するが、思うように出来ない。
洗濯をすれば衣類を破り、掃除をすれば物を壊す。
改めて、自分は剣しか能の無い女なのだと思い知らされていた。
「ま、焦る必要は無いさ。お前には俺の心を癒やす力がある。それだけで十分だ」
フリックはそう言いながら、出来上がった料理を皿に盛っていった。
さっきまでと違い、美味しそうな香りが部屋の中に充満していく。
その皿をフリックはテーブルに並べていった。
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