間章

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「ティリシア様、ただいま戻りました」 男は上機嫌でティリシアの前で膝を着く。 見た目は14歳程のその少女は、薄紫の髪を腰まで伸ばし、男に興味を持つ事なく髪の毛を三つ編みにしながら鼻歌を歌っている。 「ティリシア様?」 いつもの事とは言え、もう少しこちらの話に耳を傾けてくれてもいいだろうと男は思う。 だが、そんな表情をする事なく「報告があります」と言った。 「あなたの口から報告を聞く必要はないと思うのよね」 ティリシアは鼻歌を止めると男に右の人差し指を向けた。 「な、何を……」 「あなたの頭に直接聞くのよ」 穏やかだったティリシアの顔が険しくなる。 そして、可愛らしかった瞳の色が赤く変わっていく。 ティリシアの爪が男の額に向かって伸びていくと、そのままブスリと突き刺さった。 「ティリシア様……」 男は後ろに下がろうとしたが「動くと死ぬかもね」と、ティリシアは楽しそうに言った。 「ふぅ~ん」 暫くしてティリシアは頷く。 男の記憶を読み取り、ティリシアは指に力を加えた。 「な、何をされますか!?」 凄まじい痛みが男の頭を突き抜けていった。
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