間章

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男は頭を押さえ、膝が折れそうになる。 だが、ティリシアがそれを許さない。 「人間の世界に魔族は必要ない。勝手な行動は慎みなさい」 ティリシアは更に力を加えると、ブシューッと嫌な音が男の顔から聞こえた。 男はその音と同時に絶叫する。 真っ赤な血が飛び散り、それがティリシアにも降りかかった。 「命は取らないであげる。少し反省するのね」 爪を引き抜きティリシアはいつもの顔に戻っていた。 だが、男は違う。 痛みと憎しみが入り混じった顔をティリシアに向けていた。 だが、男はティリシアが見えていない。 男の両目はティリシアによって破裂していたのだ。 「テ、ティリシア……様……こ、この様な事をされて……」 「あなたは何も分かってないのね。でも、種を蒔いた事にはお礼を言うわ」 ティリシアはこれ以上話す事は無いと、男から離れて行く。 その男は立ち上がる事が出来ない。 それでもティリシアが動き出すきっかけが出来たのであれば、両目など安い代償だった。
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