再開

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「ようやくデルララが見えて来たね」 うっすらと淡い輝きが空を染めていた。 「始まりの鐘って、遠くからでも輝きが見えるんだ」 空を指差すシオンは、同じように空を眺めているライラに言った。 「みんな元気かな」 「簡単に死ぬような人たちには見えないけどな」 ライラは悪戯っぽい笑みを見せながら、シオンの肩に顔を乗せた。 2年の月日を共に旅して来た2人。 その旅もついに終わろうとしている。 「まずはアキュアさんに挨拶かなぁ」 みんな何をしているのだろうか。 グラン王国の現状を知らない2人は、自然と早足になっていく。 「落ち着いたらオレの家に行こう。誰も居ない村だけど、暮らす事は出来るよ」 シオンはライラの肩に手を回して引き寄せた。 照れくさい言葉に、ライラの顔は赤い。 それ以上にシオンの顔は赤くなっていた。 「シオンは変わったよ。いつの間にかたくましくなって……」 2人は苦労しながらも幸せを感じていた。 「行こう」 シオンはライラに囁くと、コクリと頷いた。
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