再開

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-- フリックは大地教団の神殿に来ていた。 正門を通り抜けると巨大な入り口がすぐに見えて来る。 入り口の左右には、この世界を創ったと伝えられる男神と女神の像がお互いを見つめるように建立していた。 その入り口を抜けると、いよいよ神殿が姿を見せるのだ。 巨大な建造物である大地教団の神殿は、その最上階には淡く輝く鐘がある。 過去に一度も鳴った事が無いと伝えられるその鐘を、人々は始まりの鐘と呼んでいた。 この鐘が鳴り響く時、平和な世界が訪れると伝えられているのだ。 フリックは始まりの鐘を見上げると、神殿内へと進んで行く。 神殿内はヒンヤリとした薄暗いホールになっている。 パッと見ただけでも、かなり広い事が分かる。 そしてホールの中心には、数段高い祭壇があり、真っ白な輝きを放つ女神像が建立していた。 フリックは黙って女神像を眺める。 その姿は、何か祈っているようにも見えた。 アキュアを神官に任せたフリックは、祈る事しか出来ない。 「まさか俺が祈る事になるとはな」 思わず苦笑いするフリックは、ゆっくりと祭壇まで進んで行った。
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