再開

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「俺は後悔しているのかもしれない」 流れ出る涙が頬を伝わって来る。 「大切な方なのですね」 「そうだ、俺にはアキュアしか……」 フリックにも分からない感情が込み上げて来る。 まさか自分が涙を流す事になるとは考えた事も無かった。 「オアシスに行きなさい」 頬を伝わった涙が床で跳ねると、それが雨の雫石のように広がった。 そして、その涙を見た神官は、オアシスへ行けと言う。 「オアシス?」 このファーレル大陸には東西を分断するように広大な砂漠がある。 その砂漠の中心に大地教団のオアシスが存在していた。 まさに、総本山とも言うべき大地教団の全てが集まる場所なのだ。 「そうです。オアシスで巫女様に会いなさい」 「巫女……?」 フリックは神官の言葉に驚いた。 「巫女が……巫女が存在すると言うのか?」 フリックは神官の両肩を強く掴んでいた。 その力の強さに神官の顔が歪む。 「す、すまん……」 神官は首を横に振りながら「新たな巫女様が存在していますよ」と言った。 「そ、そんな……」 フリックの全身に衝撃が走り抜けていた。
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