再開

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巫女とは大地教団の象徴にして、最高位の神官の事である。 女神の生まれ変わりと言われ、数々の奇跡を起こしてきた。 しかも、女神の声を聞く事が出来る唯一の者なのだ。 だが、2年前の大戦の時、巫女は死んだと伝えられている。 フリックもアキュアと共に巫女の近くで戦っていたのだ。 「本当に巫女が生きていると?」 フリックは神官の目を見つめた。 既に涙は無く、フリックの頭の中では、色んな事が目まぐるしく駆け巡っていた。 「巫女はあの時に死んだのではないのか?」 「確かに一度は命を落としました。ですが、確かに巫女様は存在しています」 あの時、大地教団から巫女が死んだとの発表はされなかった。 新たな巫女が誕生したとの噂も聞いていない。 大地教団は、今まで通り何も変わらず存在していたのだ。 フリックは希望が見えた気がした。 巫女が生きているのであれば、アキュアの吸い込んだ魔石が分かるかもしれないのだ。 「だが、どうやって……」 グラン王国から大地教団のオアシスまでの距離は、弱っているアキュアには厳しい。 しかも、砂漠を越えなければならないのだ。 「まぁいい」 フリックはそう言いながら、神殿を後にした。
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