再開

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-- 三大老の話し合いを終えたシルは、自室に戻っていた。 ようやく重苦しい雰囲気から解放されたシルは、ゆっくりと深呼吸した。 大筋には方向性は決まっている。 だが、細かな所でそれぞれの主張が折り合わず、話し合いは平行線を辿っていた。 「こんな話し合いをしていた所で、答えは決まっているのですよ」 誰に言うでもなく呟くシルは、旅立つ準備を始めた。 「陸路よりも海の方が目立たないですかね」 このデルララにも港は存在している。 グラン王国の首都だけあり、その規模も大きい。 「フリックからは、こんな報告書ではなく直接話を聞かなくては」 机の上に無造作に置かれた書類。 その書類に視線を向けると、シルは手に持った。 「エランの裏切りですか……」 真っ先に目に飛び込んで来る裏切りの文字。 そこでアキュアが傷を負った事が書かれている。 奴隷制度の事については、最後の数行に書かれているだけだった。 「あの2人を行かせたのは失敗でしたかね」 シルは呟くと侍女を呼んだ。 「暫く出掛けて来ます。この事は黙っていて下さい」 そう言って部屋から出て行った。
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