再開

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王宮から出て大地教団の神殿へ足を向けるシル。 アキュアが大地教団の施設で手当てを受けているのだ。 フリックの居場所も間違い無くそこだろう。 シルは正門を抜け、神殿の隣にある建物の中へと入って行った。 ここは、病気や怪我人などが治療を受ける為の施設で、多くの人々が集まっているのだ。 「ここも限界に近いですね」 部屋に入りきれない人々が廊下でうずくまっていた。 そんな人々を横目で見ながら、シルは一番奥の部屋の扉の前まで来た。 「ここですね」 シルは扉を叩く。 部屋の中から「どうぞ」と聞こえ、ゆっくりと扉を開けた。 「様子はどうですか?」 付き添いの侍女に聞くシルは、眠っているアキュアを見る。 「今は大地の恵みの影響で眠っています」 「そうですか。ところでフリックの姿が見えませんが?」 「珍しい客人だな」 シルの言葉とフリックの言葉が同時に重なる。 「私がここに来てはいけませんか?」 「いや、歓迎する」 2人はお互いの手を握り、笑みをこぼした。 「フリックだけでも無事で何よりでした」 シルは手を離しながらそう言った。
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