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「ワハハハっ
それはすっぱり言い切ったな」
高級感が漂う一室で不似合いな声が響き渡る。
「社長っ
笑い事じゃあないですよっ
一瞬思考回路が停止しましたよ」
「まぁ
心配するな
普段猫かぶってるんだ
少しぐらい構わん構わん」
この大笑いしているオッサンは神宮寺博正(じんぐうじ ひろまさ)は僕が所属している大手事務所「X」の社長。
黙っていればちょいワルオヤジだけど中身は細かいことは気にしない大雑把な人だ。(聡い人でもあるけど)
ちなみにこの世界に僕を導いたのはこの人だったりする。
「神宮寺さんもそう言ってるんだ
坂時君は考え過ぎ」
「平治(坂時の下の名前)
櫻(さくら)の言う通りだぞ」
「……神宮寺さん
僕の本名は風世櫻(かざせ よう)です
か・ざ・せ・よ・う
確かに櫻と書いて「よう」ですけどその呼び方は辞めてくれません?」
僕がその呼び方を嫌ってるって解ってて言うんだから質が悪い………
ムッとした顔で神宮寺さんを見る。
「いや~
どうも「さくら」の方が馴染んでしまってな」
「初めて会ったときから言ってるんですけど」
直す気ないだけだろ………
不機嫌そうな顔のまま神宮寺さんを見る。
もちろん普通は事務所の社長にこんな態度をとるなんて有り得ないことで、僕と神宮寺さんだからこそ成り得ること。(もちろんその場にいるメンツにもよるけど)
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