変わらぬ日常―櫻―

5/8
前へ
/138ページ
次へ
「しかし 前から思っていたんですけど」 坂時君が僕の方を見る。 「なんだ?」 「なんで 桜嫌いなんですか? あんな綺麗で日本人の心とまで言われている花を?」 「嫌いなもんは嫌いなだけだよ 確かに綺麗だとは思うけどね」 魔性のような物を感じるほどに…………… 「綺麗だと思うのに嫌いって……… あっ!」 坂時が何かを思い付いたかのように呟く。 「さてはさくら、さくらって散々言われたから嫌いになったとか?」 からかうような視線を向け言う。 「一部正解かな?」 小さい頃はみんながみんな呼んでたからな……… 苦虫噛んだような顔する。 「絶対一部じゃあないでしょ?」 ボソッと坂時が言った言葉にキツい目線を送る。 「まぁ どうでもいいじゃあないか それよりもうそろそろ帰って休め」 神宮寺さんの言葉で時計を見る。 あと少しで今日が終わろうとしている。 「うわっ もう帰らないと明日もCM撮影とか詰め込んでいるのにっ 瑞季さん行きましょう では社長 失礼します」 坂時は頭を下げ出て行く。 「じゃあ 行きます 神宮寺さんも早く休んで下さいよ」 「あぁ 分かった」 頭を軽く下げ社長室から出て行く。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加