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「ウルサいな……
一層のこと坂時君がしたら?」
「断固拒否ですっ
これ以上俺をこき使われたら過労死します!
只でさえ子供と会えてないのに……
一体いつだっけ?
最後に息子の顔見たの………」
「………冗談だよ」
「瑞季さんが言うと冗談に聞こえない……
あっ
マンションにもうすぐ着きますよ」
「あぁ
そうだね」
僕は坂時君に言われて気づく。
この当たりは普通の住宅街。
都市から若干離れている僕が住むデザイナーズマンションは普通のサラリーマンが住むには少し高いくらいの家賃でそこそこ広い。
綺麗なマンションではあるけれど今人気の俳優が住んでるとは思えるものではないかな。
「着きましたよ
瑞季さん…いやここでは風世さんって呼んだ方がいいですね」
「そうだね」
一応僕がここに住んでいることは大家以外バレてない。
普通バレそうなもんだけど、大家が騒ぎたてられるのを嫌っていることと僕が住んでいる部屋が人があまり通らない端にあるのといわくつき(僕が住み始める2年ぐらい前に殺人事件があったらしい)でしかも僕の生活が不規則なもんだから気味悪がってだれも近づきもしないのが助かってバレていない。
「じゃあ
お疲れ様です
ゆっくり休んで下さい」
「あぁ
そっちもな」
僕はそう言うとデザイナーズマンションの入口に向かう。
「風世さんっ」
坂時君が僕の背中に呼びかける。
「ん?」
「体……大事にして下さいね?
貴方には応援してくれるファンがたくさん居るんですから
そのファンを悲しませてはいけません」
まっすぐ僕の目を見て言う。
その瞳には「瑞季司」だけではなく「風世櫻」のほうも心配してくれているのが伝わってくる。
僕は坂時君の言葉に答えずただ微笑して再び前を向いて歩き出す。
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