導き

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「姉さん・・・そこまで強がらないでよ。泣いても・・・いいんだよ。」 「ばかね・・・。大丈夫だったら・・・。」 「姉さん。何か・・・願いはない?」 「願い・・・?」 「そうだよ。願い。俺が、叶えてあげるよ。姉さんの願い。さあ、言ってよ。」 「願い・・・そうね、姉さん・・・もうちょっと生きたかったなぁ・・・。でも、無理な願いだね。ごめんね。雄樹。」 「無理なんかじゃないよ、姉さんはまだまだ生きるって言ってたじゃないか。生きるんだよね?」 「あはは・・・。そうね。ねぇ、雄樹?・・・近くに来てくれないかな。」 俺は、なんだろうって思った。 近くに寄ったら姉さんは、俺にすがりついた。 俺の頭には、水滴がふって・・・ 「ごめんね。雄樹。私は・・・弱いね。」 「そんなことないよ。姉さんは強いじゃないか。いつだって・・・」 「雄樹・・・精一杯、生きるのよ?約束して。コレが姉さんの願い。」 「わかったよ・・・わかったから・・・。姉さん、元気を出してよお。」 姉さんが俺を放した。 俺が姉さんの顔を見たとき、姉さんは初めて・・・泣いていた。 「ごめん・・・雄樹。そろそろ・・・お別れみたいだね。」 「姉さん、嫌だよ。嫌だ。お別れなんて、言わないで・・・。」 「ごめんね・・・雄樹・・・さよう・・・なら・・・」 姉さんの顔には涙の後が残り、静かに目を閉じていた。 外では雪祭りの花火が光り輝き、きれいだった。 「きれいだね・・・姉さん・・・。」 反応なんてあるわけない。 でも俺は何回も話しかけた。 「嘘だよね・・・姉さん。・・・目を開けてよ。」 俺は・・・涙があふれ、零れ、泣いた。 いつまでも、いつまでも泣いた。 時間の感覚がわからないくらい泣いた・・・。 何時間たっただろうか? 今が何時だかわからない。 俺の目に焼きついてたのは、花火の光、涙の滲み。 姉さん・・・また、すぐ会えるよね? (そうだね。またすぐ会えるよ。) お互いの顔忘れてたりしてね。 (あはは。それはないでしょ。さすがに。) だから・・・またね! (またね。雄樹。) 俺は泣くことをやめた。精一杯生きるって決めたから。 俺と姉さんの、涙の記憶。 再生することはもう二度とない。 だが、願わくば・・・・
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