4人が本棚に入れています
本棚に追加
「姉さん・・・そこまで強がらないでよ。泣いても・・・いいんだよ。」
「ばかね・・・。大丈夫だったら・・・。」
「姉さん。何か・・・願いはない?」
「願い・・・?」
「そうだよ。願い。俺が、叶えてあげるよ。姉さんの願い。さあ、言ってよ。」
「願い・・・そうね、姉さん・・・もうちょっと生きたかったなぁ・・・。でも、無理な願いだね。ごめんね。雄樹。」
「無理なんかじゃないよ、姉さんはまだまだ生きるって言ってたじゃないか。生きるんだよね?」
「あはは・・・。そうね。ねぇ、雄樹?・・・近くに来てくれないかな。」
俺は、なんだろうって思った。
近くに寄ったら姉さんは、俺にすがりついた。
俺の頭には、水滴がふって・・・
「ごめんね。雄樹。私は・・・弱いね。」
「そんなことないよ。姉さんは強いじゃないか。いつだって・・・」
「雄樹・・・精一杯、生きるのよ?約束して。コレが姉さんの願い。」
「わかったよ・・・わかったから・・・。姉さん、元気を出してよお。」
姉さんが俺を放した。
俺が姉さんの顔を見たとき、姉さんは初めて・・・泣いていた。
「ごめん・・・雄樹。そろそろ・・・お別れみたいだね。」
「姉さん、嫌だよ。嫌だ。お別れなんて、言わないで・・・。」
「ごめんね・・・雄樹・・・さよう・・・なら・・・」
姉さんの顔には涙の後が残り、静かに目を閉じていた。
外では雪祭りの花火が光り輝き、きれいだった。
「きれいだね・・・姉さん・・・。」
反応なんてあるわけない。
でも俺は何回も話しかけた。
「嘘だよね・・・姉さん。・・・目を開けてよ。」
俺は・・・涙があふれ、零れ、泣いた。
いつまでも、いつまでも泣いた。
時間の感覚がわからないくらい泣いた・・・。
何時間たっただろうか?
今が何時だかわからない。
俺の目に焼きついてたのは、花火の光、涙の滲み。
姉さん・・・また、すぐ会えるよね?
(そうだね。またすぐ会えるよ。)
お互いの顔忘れてたりしてね。
(あはは。それはないでしょ。さすがに。)
だから・・・またね!
(またね。雄樹。)
俺は泣くことをやめた。精一杯生きるって決めたから。
俺と姉さんの、涙の記憶。
再生することはもう二度とない。
だが、願わくば・・・・
最初のコメントを投稿しよう!