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「ボフンッ」
・・・・雪に突っ込んだようだ。
もういつものことだった。加奈は左足と右手は・・義手義足のため、雪の日は特に・・・突っ込む。
「しょうがないなぁ・・・」
俺がとっとと起こす。また学校に遅刻してしまうからな。
腕が細く、足も細く、きれいな顔立ちで誰が見ても美人な加奈は、こんなどんくさいところさえなければな・・・
とはいえ起こすときはやはりドキドキする・・・。
俺にはまぶしくて。
そしてそろそろ現れるだろう。
おなじみだ。
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
・・・・ほらきた。北山だ。
「お前!雄樹ー!またしても加奈ちゃんと一緒にー!!」
元気な奴だな。こいつに付き合ってる暇はないぜ。
「ほら加奈。あんな馬鹿はほっといてとっとと学校いくぞ。」
「あ・・・うん。でもいいの?」
「いいさ。そのうち来るだろう。」
さっさと歩き出す。そろそろ学校が見えてきた。
「おはよー雄樹君。」
「ああ、おはよ。花梨。」
俺たちの学年の中では最も人気の高い、小林花梨。
しかし・・・こいつの性格はな・・・。
「なんか考えてるの?」
・・・ご名答。
「いや、なんでもないよ。」
「ふう~ん。」
こいつに知れると命がなくなる。
今日もだるい一日が始まるんだな。
そう思った。
けど時間はあっという間で。
気がついたら放課後。
「・・・・帰るか。」
帰りは一人なので加奈に手間取られることもなく、かなり楽だ。
けれどもまさか、その日ですべてが変わるとは思っても見なかった。
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