導き

4/34
前へ
/116ページ
次へ
「ボフンッ」 ・・・・雪に突っ込んだようだ。 もういつものことだった。加奈は左足と右手は・・義手義足のため、雪の日は特に・・・突っ込む。 「しょうがないなぁ・・・」 俺がとっとと起こす。また学校に遅刻してしまうからな。 腕が細く、足も細く、きれいな顔立ちで誰が見ても美人な加奈は、こんなどんくさいところさえなければな・・・ とはいえ起こすときはやはりドキドキする・・・。 俺にはまぶしくて。 そしてそろそろ現れるだろう。 おなじみだ。 「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」 ・・・・ほらきた。北山だ。 「お前!雄樹ー!またしても加奈ちゃんと一緒にー!!」 元気な奴だな。こいつに付き合ってる暇はないぜ。 「ほら加奈。あんな馬鹿はほっといてとっとと学校いくぞ。」 「あ・・・うん。でもいいの?」 「いいさ。そのうち来るだろう。」 さっさと歩き出す。そろそろ学校が見えてきた。 「おはよー雄樹君。」 「ああ、おはよ。花梨。」 俺たちの学年の中では最も人気の高い、小林花梨。 しかし・・・こいつの性格はな・・・。 「なんか考えてるの?」 ・・・ご名答。 「いや、なんでもないよ。」 「ふう~ん。」 こいつに知れると命がなくなる。 今日もだるい一日が始まるんだな。 そう思った。 けど時間はあっという間で。 気がついたら放課後。 「・・・・帰るか。」 帰りは一人なので加奈に手間取られることもなく、かなり楽だ。 けれどもまさか、その日ですべてが変わるとは思っても見なかった。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加