導き

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帰り道・・・・ 毎日見慣れた橋である少女を見つけた。 「うわ・・・あぶなっ・・・」 その少女は橋の下を覗き込むかのように身を乗り出していた。 その目には・・・光がなくて。 「おい!何してるんだ!危ないだろ!」 俺が声をかけるとその少女はびっくりしたような顔をした後 「あはは。橋の下の魚見てるだけだよ。大丈夫だって。」 と笑顔で言った。 身長からして・・・中学一年生?小学六年生?ってところだろう。小学生ってことで。 「いまどきの小学生は危ない奴が多いな。どこの小学校だ?」 「え・・・小学生?誰が?」 やれやれ・・・おとぼけだな。 「お前しかいないだろう・・・。まったく・・・」 その少女は少しむっとしたような顔をした後再び 「あはは。何言ってんの?あたし高3だよ?」 と笑顔で言った。 ・・・・何?今のは空耳だよな? こいつがもし高3だとしたら世界の七不思議のひとつに入れるぞ。 いや、下手したら殿堂入りだ。 それくらいの発言だった。 「高3だと?嘘を言うなぁ!」 「嘘じゃないよぉー。えーっと・・・貴方の制服・・・百済高校でしょ?高2かな。」 ・・・そのとおり。 「だったらどうした?」 「同じ高校だね。ホラ・・・これ・・」 その少女(?)はコートの肩のところをめくって校章を見せた。 ・・・確かに。この校章。そして赤茶色の制服は百済高3年の制服ではあるが・・ いつから日本には飛び級が出来たんだ?と思われるくらいだった。 「そうか・・・。・・・・日本の七不思議だな(ボソ)」 「ん?なんか言った?」 顔が・・・笑ってない。 「何も言ってない。さあ小学生は早くおうちに帰りなさい。」 「あー!また馬鹿にするー。背が小さいからって小学生っていうなー!」 ・・・・だって見たまんまだし。 「あはは。まぁいいや。それじゃねー変な人。」 「変な人って何だよ!?」 その少女は笑いながら歩き去っていった。 俺も・・・悪い夢の見すぎだな。きっと。 早く帰ろうか。 俺は帰路を急ぐことにした。あたりは少し薄暗く、雲に少し赤みがかかっていてきれいだった。
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