導き

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俺が幼かったころ。確か4歳の時だ。 俺の父親は飲んだくれで、いつもまともに仕事なんてしてないくせに金を見つけては酒を飲んでいた。 金がなければ母親に当り散らし、挙句の果てには借金までして酒を飲んでいた。 ある日のことだった。 俺の母親は 「いつもいつも酒ばかり飲んでないで、たまには働いてください!」 と、怒鳴りつけた。 「なんだと?えらそうなこと言ってんじゃねえよ!」 それからしばらくは、言い争いが続いていた。 俺と姉さんは・・・怖くて部屋の中に篭ったままだった。 しばらくしてようやく静かになって、俺たちは部屋を出た。 居間にあったのは、絨毯に染み付いた真っ赤な血。 そして、ぐっすりと寝ている親父。 そして・・・・絨毯に染み付いた血を流してる・・・・俺の母親だった。 ある日。俺たちは、父親が怖くなり母親ともども飲みに出かけた父を置いて、逃げ出した。 それからしばらくはなんともなかった。毎日が幸せで、楽しくて。 生きてきている中で最高に楽しかった日々だった。 だが、そんな俺たちの幸せもすぐに消え去ってしまった。 すべてはあの忌まわしき父親のせいで。 逃げ出して、1ヶ月もたった日。 俺と母さんと姉さんが住んでるアパートの一室に、来客があった。 なんだろう?って思って母親が出て行ったのを俺は後ろから見ていた。 母親がドアを開けた瞬間に出た悲鳴。それと共に崩れ落ちる母親。 俺には何が起こったのかさっぱりわからなくて。 母親が崩れ去った後に見たのは、確か父親の影だった。 俺はそこから先のことは覚えてなかった。恐怖のあまり逃げ出して。 逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて・・・ 気がついたとき、俺は姉と共に孤児院にいた。 母親は、父親が来たときに、ドアを開けた瞬間ナイフで刺されて、殺された。 俺はそれを孤児院で聞いたとき、姉さんにすがり付いてただただ泣いていた。 けれどその涙は、悲しみと共に俺に決心をももたらした。 これからは、もっと立派に生きようと。 母親の影にすがらずに、ちゃんと生きていこうって。 それからは俺の孤児院での生活が始まった。姉さんとの喜びや悲しみの記憶が始まった。
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