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姉さんは俺に、遊んでおいで。
思いっきり外で遊んでおいでと言っていた。
その顔には、汗がびっしょりで。
「先生・・・・」
先生の耳に向かって何かをしゃべっていた。
それは俺には聞き取れなかった。
姉さん・・・元気になってよ。
俺はただただそれだけを願った。
だがその願いもむなしく、消え去っていった。
夜になって、姉さんはいよいよ危なくなっていた。
息も荒くて、ほんとにもう死ぬ間際。
そんな姉さんが口にした言葉は・・・
「雄樹。遊んでおいで。外で思い切り遊んでおいで。怪我したら、姉さんが治してあげるから。」
「・・・そんなことより自分の体の心配をしなよ。姉さん。」
「姉さんなら大丈夫よ。まだまだ生きるんだからね。」
姉さんは息が荒い中でも笑顔を作り俺に見せた。
「姉さん・・・俺はそんな笑顔なんか見たくないよ。何でそんなに、無茶するの。」
俺はもはや涙があふれ、姉さんの顔がゆがんで見えた。
人の命の儚さを知った一瞬だった。
「雄樹。姉さんの笑顔は・・・嫌い?」
「そうじゃないよ、苦しいんでしょ。姉さんの作り物の笑顔なんて見たくないよ。」
「全然、苦しくなんてないよ。雄樹も、笑ってよ。」
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