両手叩いて笑おうよ - Be*Vo

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「藤くーん、何見てんの?」 「あぁ..ぇーと..空?」 目を細めて、夕焼けの光に照らされて。 まるで、どこかに行ってしまいそうに見えた。 「夕焼け綺麗だね」 「うん..」 「俺も一緒に見て良い?」 「良いけど..楽しいことなんかねぇよ?」 背中を丸めて窓枠に寄り掛かる藤くんに、ぴったり寄り添う様に俺も寄り掛かる。 「ぁ、花倒さないでね」 「..コスモス..?いつの間に置いたの?」 「今日。なんとなく、ね」 「へぇ..」 長いストレートの髪が、さらりと風に靡く。 コスモスの花びらも、柔らかく揺れて。 カメラ、持ってれば良かったな。 凄く、綺麗なのに。 「んー..藤くん..好きー...」 「なに」 ふふ、と照れくさそうに笑う彼を見て、俺も照れくさくなって。 さっきより少しだけ色の変わった空を見上げる。
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