輝く月に想いを馳せて - 坂*銀

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「じゃあの、金時。暫く会えんようなるのぉ」 「..あぁ。..っつーかオメェ、最後まで名前間違えるたぁ..いい度胸してんじゃねぇか」 攘夷戦争後期。 終わりの見えない戦争に見切りを付け、内側から安定をもたらす為、空へ行く決意をした。 苦楽を共にし、死の淵を共に歩いた者達に別れの挨拶をし。 最後に銀時の名を、わざと間違えた。 「アッハッハッ。おみゃーは金時ぜよ」 「んだとコラ最後の最後に喧嘩売ってんのかテメー」 黒いくるくる頭に銀のくるくる頭が啖呵を切る。 この光景も最後になるのだと、いつもは呆れて見守る者達の心に、一抹の寂しさが宿った。 免許皆伝の剣術の使い手。 そう謳われた坂本は、貴重な戦力でもあり。 例え銃弾飛び交う戦場においても、仲間を気遣い、笑みを絶やさぬ彼に、心救われた者は幾多といた。 「..のぅ、銀時。..おんしはまっこと、月の様じゃき」 「っあぁ?..話飛びまくってんぞ」 訝し気に眉を顰める銀時に構わず、言葉を続ける。
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