240人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「じゃあの、金時。暫く会えんようなるのぉ」
「..あぁ。..っつーかオメェ、最後まで名前間違えるたぁ..いい度胸してんじゃねぇか」
攘夷戦争後期。
終わりの見えない戦争に見切りを付け、内側から安定をもたらす為、空へ行く決意をした。
苦楽を共にし、死の淵を共に歩いた者達に別れの挨拶をし。
最後に銀時の名を、わざと間違えた。
「アッハッハッ。おみゃーは金時ぜよ」
「んだとコラ最後の最後に喧嘩売ってんのかテメー」
黒いくるくる頭に銀のくるくる頭が啖呵を切る。
この光景も最後になるのだと、いつもは呆れて見守る者達の心に、一抹の寂しさが宿った。
免許皆伝の剣術の使い手。
そう謳われた坂本は、貴重な戦力でもあり。
例え銃弾飛び交う戦場においても、仲間を気遣い、笑みを絶やさぬ彼に、心救われた者は幾多といた。
「..のぅ、銀時。..おんしはまっこと、月の様じゃき」
「っあぁ?..話飛びまくってんぞ」
訝し気に眉を顰める銀時に構わず、言葉を続ける。
最初のコメントを投稿しよう!