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「遠くから見れば美しく..近くで見れば傷だらけ。..護られちょるゆう安心感を貰えるが、傷を知ればたちまち、護りとぉなる..」
「..?」
「銀色に輝く時は髪の様、紅く燃ゆるそれは瞳の様..。では、金色の時は、どう思う?」
「..知らねーよ。..まず、月って例えが可笑しいだろ」
紅い瞳が戸惑いがちに細められるのを見て、坂本が微笑む。
「金の時も、月は月じゃ。..どんな時も、銀時は銀時じゃぁっ!」
口の中が見える程、大きな口を開けて笑う彼のその言葉に。
夜叉などという呼称を付けられた彼の心が、軽くなる。
「おんしの心の中には、おんしの先生とやらが常におる。銀の月を見た時も、紅の月を見た時も..おんしのその髪と瞳を、最初に美しいと言うたそん人が、きっと真っ先に出てくるんじゃろう」
銀の髪を、ふわりと無骨な手が撫でる。
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