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「..なら、わしは金に輝く時を貰おう」
「ぇ..?」
「銀の時も紅の時も、先生を思い出したらえぇ。..只、金の時には。..おんしの名を呼び間違えた男を、真っ先に思い浮かべてはくれんか」
いつも豪快に笑う彼には似合わない、哀し気な笑みに。
銀の彼が微笑う。
「月だとかなんとか..。んなこと言ったのは、てめぇで2人目だよ、辰馬ぁ...」
銀色の彼の頭には、かつて共に月を見た師が浮かび。
黒曜石の髪と瞳を持つ、目の前の男を見る。
「..俺を月だと言うんなら...宇宙はてめぇだ、辰馬。その空を思いの限り駆けて、月を包み込んでみろ」
挑戦的な笑みでこちらを見ながら頬をつねってくる銀色に、黒色の顔が綻ぶ。
「上等ぜよ。..地上の月よ。空が落ちてきた時は、頼むきー」
「あぁ。..また上に思いっきり、投げ返してやらぁ」
いつからだろうか、
君が名前を間違える様になったのは
いつからだろうか、
君の名前を間違える様になったのは
あぁきっと、
血塗れた戦場で一際輝く
貴方の色を見付けた時から──
了
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