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結局同着だったのだが、それが気に食わないのか。互いに髪を抜こうとしたり、頬をつねったりしている。
その後ろから追い付いて来た他の子供達の目が、銀髪の少年に留まった。
「松陽先生、その子は?」
「えぇ、銀時と言います。吉田銀時」
松陽の背から降ろされた銀時が、怯えるように皆を見る。
「先生と同じ名前だねー」
「はい。私の、息子ですから」
「...ぇ?」
にっこりと微笑む松陽に告げられた言葉に、銀時以外の子供達の動きが止まり。
暫しの逡巡の後、一番最初に声を上げたのは桂だった。
「せ、先生に奥方はいらっしゃらないと..お聞きしていたのですが...っ」
「えぇ、いませんよ」
残念ながら、と、とてもそうは思っていなさそうな表情で告げた師の性事情に。あらぬ想像をした桂が顔を真っ赤にして慌て出したのを見て、今まで黙り込んでいた銀時が声を上げる。
「この人は...俺を拾ってくれたんだ」
続
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