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背後に戸惑うような少年の気配が感じられ。自分について来てくれることを祈り、ゆっくり歩を進める。
すると、ぱたぱたと軽やかな足音が、自分を追って近付いているのが聞こえ、嬉しくなって立ち止まった。
「っぁ..の...」
おどおどと言葉を紡ごうとする少年の頭を、ふわりと撫でる。
「こんにちは、小さな可愛い子...。私の名は、吉田松陽と言います」
「よしだ..しょうよう...?」
松陽と名乗った男が、少年の目線に合わせてしゃがみ込む。
「君の名前は、何と言うのですか?」
「..名前...?...わかんない」
驚いたように目を見開くも、少年は何の感慨も抱いていないように頷いて。
「..何も、わかんない。みんな、俺のせいでりょうしん、って言うのが死んだんだ、って言ってた」
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